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独身女性の老後資金、いくら必用?一人暮らしは老後も気は楽?

独身女性の老後資金、いくら必用?一人暮らしは老後も気は楽?

 

独身・一人暮らし女性の老後の年金収入額はおおよそ4100万円

つぎに、彼女が定年退職後に受給できるお金の総額を公的年金収入に絞って計算します。

公的年金は、受給額の差はあったとしても経常収入として見込める唯一の収入源だからです。

会社勤めの第二号被保険者は「国民年金と厚生年金の2階建て」

公的年金は、日本に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての人が加入する「国民年金(基礎年金)」の1階部分、会社などに勤務している人が加入する「厚生年金」の2階部分で構成されています。

彼女は、1階部分の国民年金(基礎年金)に2階部分の厚生年金が乗った加入者=第二号被保険者となります。

今回の例では

  • 女性は学生の間もしっかり納付、就職後退社するまでの44年間を第二号被保険者

でいたことを前提としますので、対象の年金は国民年金と厚生年金(老齢厚生年金)なります。

老齢基礎年金

老齢基礎年金とは、国民年金に10年以上(保険料免除・猶予・学生特例期間も含)加入した人が65歳から受けとることのできる年金です。

年金額は40年(480ヵ月)加入した場合を満額とし、40年に満たない期間に応じて減額されます。

この記事を書いている2020年9月時点での満額は781,700円です。(※2021,2022年と2年連続で支給満額が減少。2022年度の満額は777,792円)

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猶予や学生特例期間は受給資格期間には含めることができますが、支給額には反映されないので注意です。ただ、後から納めなおすことはできます。

彼女は、満額781,700円を老齢基礎年金として65歳から受給します。

老齢厚生年金

65歳からの老齢厚生年金の支給額は、「報酬比例年金額」、「経過的加算額」、そして「加給年金額」の合計となります。

掛け金が定額である国民保険と違って厚生年金は収入に見合った分を支払います。

厚生年金の掛け金は、毎年4月~6月に支払われる給与を基本に決める標準報酬月額と賞与総額から算出する標準賞与額でその保険料が決まります(実際の支払いは半分を雇用主が、もう半分を加入者が負担)。

この女性の場合、会社勤めの44年間が年金の対象になります。

配偶者・子供がいないため、加給年金は彼女には適用されません。

年間収入額は中央値をつかう

老齢厚生年金の受給額を求めるのには、保険加入期間の平均報酬月額を出す必要があります。

平均報酬額は、「平均月収入額」ではなく「月収入額の中央値」を使用します。

格差社会が取り沙汰される昨今、平均値は大多数の値を示しているとは言えなくなっているからです。

厚生労働省 賃金構造基本統計調査「賃金階級、性、年齢階級別労働者割合」にある中位数を「報酬額と賞与額」の代わりとして使いました。

年齢別賃金分布中央値(女性)

この資料を元に彼女の「報酬比例年金額」を計算していきます。

※この女性の場合は「定年が遅い比較的小規模な企業に勤めた」と設定にしましたので、60-64歳の賃金も55-59歳同様にしました。

彼女の「報酬比例年金額」と「経過的加算」を算出

報酬比例年金額は、平成15年3月を境にして計算の数値が変わります。

標準報酬月額と保険料の早見表(東京都・2020年3月分~)

彼女の標準報酬月額(年齢階層毎)

21-24歳25-29歳30-34歳35-39歳
17万/月×12か月×2年間19万/月×12か月×5年間20万/月×12か月×5年間20万/月×12か月×5年間
45-49歳50-54歳55-59歳60-64歳
20万/月×12か月×5年間20万/月×12か月×5年間20万/月×12か月×5年間20万/月×12か月×5年間

老齢厚生年金報酬比例金額の計算式

老齢厚生年金報酬比例金額計算式

A:平均標準報酬月額 ×生年月日に応じた率(この女性の場合は0.007125)×平成15年3月までの被保険者期間の月数
→平均標準報酬月額
(17万/月 ×4年+19万/月 ×5年+20万/月 ×7年)÷192ヵ月=189,375円→190,000円
→平成15年3月までの報酬比例年金額
190,000円×0.007125×192ヵ月=259,920円/年

B:平均標準報酬月額 ×生年月日に応じた率(この女性の場合は0.005481)×平成15年4月以降の被保険者期間の月数
→平均標準報酬月額
(20万/月 ×5年+20万/月 ×5年+20万/月 ×5年+20万/月 ×5年+20万/月 ×5年+20万/月 ×3年)÷336ヵ月=200,000円→200,000円
→平成15年4月から令和8年3月31日までの報酬比例年金額
200,000円 ×0.005481×336ヵ月=368,324円/年

彼女の報酬比例年金額=A+B=259,920円+302,552円=628,244円/年

次に「経過的加算」金額ですが、日本年金機構の説明を引用します。

経過的加算とは

60歳以降に受ける特別支給の老齢厚生年金は、定額部分と報酬比例部分を合算して計算します。

65歳以降の老齢厚生年金は、それまでの定額部分が老齢基礎年金に、報酬比例部分が老齢厚生年金に相当します。

しかし、当分の間は老齢基礎年金の額より定額部分の額のほうが多いため、65歳以降の老齢厚生年金には定額部分から老齢基礎年金を引いた額が加算されます。

これを経過的加算といい、65歳以降も60歳からの年金額が保障されることになります。

日本年金機構「経過加算」より

経過的加算額の計算式

経過的加算額の計算式

ではこの計算式に沿って、彼女の経過的加算額を出してみます。

(1630円×1×40年×12か月)-781,700円×【39年×12か月÷40年間×12か月】=20,243円/年
※この計算式では厚生年金保険の被保険者月数は上限480ヵ月

彼女の受給年金額が出ました

彼女が会社勤めの39年の間支払った保険料に対する老齢厚生年金受給額が計算できました。

老齢厚生年金支給額=報酬比例年金額「562,472円」+経過的加算「20,243円」=582,715円/年

この金額と1階部分の老齢基礎年金を加えた総額が、この女性が手にできる年金受給額となります。

彼女は40年間払い続けたため、老齢基礎年金受給額は満額781,700円/年です。

わたしの計算ではこの女性の年金スタート額は、老齢基礎年金額「781,700円」+老齢厚生年金「582,715円」=1,364,415円/年(月額113,702円)となりました。

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この金額は「家計調査報告(高齢単身無職世帯の家計収支)」の平均収入115,558円に近い数字になりました。しかし、家計調査報告の場合は’社会保障給付’となっていますから公的年金収入に限定した今回のモデルは多少意味合いが異なります。

65歳定年後、彼女が受け取る年金総額は

この女性は65歳で仕事をリタイアし95歳で亡くなるまでの30年間を老後とすれば、1,364,415円×30年=40,932,450円

彼女の老後30年間の年金収入額 40,932,450円

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  • この記事を書いた人

Kage

’64年生まれ。2020年二度目の東京五輪をRebornの時と考え、30年近く続けた工場経営からリタイヤしました。新しい人生がより豊かなものになるよう自己学習をしながら情報を発信していきます。

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